2015/11/30

【安藤忠雄×奥山清行】「日本が世界に発信すべきはデザイン」 御堂筋パーティで語る


 ヤンマーは27日、大阪市北区の新梅田シティで安藤忠雄氏と同社取締役も務める工業デザイナーの奥山清行氏のトークセッションを開いた。安藤氏が手掛けた緑化モニュメント「希望の壁」と奥山氏がデザインしたヤンマーの最新大型トラクター「YT5113」をバックに、互いのデザイン観を披露し合った。

 29日に大阪市内で開いた御堂筋オータムパーティ2015(御堂筋ワンダーストリート)のプレイベントとして開催したもの。御堂筋パーティでは御堂筋を歩行者に開放し、パレードや路上パフォーマンスを繰り広げたほか、全国ご当地グルメや光のイルミネーションなどで来場者を魅了した。オープニングセレモニーでは、フェラーリ100台のパレードをYT5113が先導した。
 トークセッションのテーマは「デザインの力で世界を切り拓く」。安藤氏は「少しの意識の変化が大きな変革につながる。『希望の壁』は緑化に対する意識付けをねらったものだ。このトラクターも、いままでにないデザインを通じて農業のイメージを変えるきっかけになるのではないか」と話し、「世界一速いフェラーリをゆっくり走るトラクターが先導するのは面白い試みだ。みんなの驚く顔を見るのが楽しみ。感情が揺すぶられると経済が前に進む」と期待を寄せた。
 奥山氏は「建築やデザインには、世界中から人を集める力がある。そして、建築もデザインも使っていただいて初めて価値が出るもの。私はYT5113の見た目だけをデザインしたのではなく、農家の方に話を聞いて、機能性をとことん追求してデザインした」と述べた。

ヤンマーのYT5113

 その後、世界に向けた発信に話は及び、安藤氏は「日本が世界に発信すべきものはデザイン。デザインはパーツが集まってでき上がるが、パーツがぶつかり合うことで生命力が生まれる。これは建築も同じだ」と力説。奥山氏は「世界は地方の集まり。地方のことをよく知って、その場所にあったことをしないといい仕事はできない」と世界での仕事術を説いた。
 YT5113はヤンマーが5月から発売しているYTシリーズの特別モデルで、50台の限定生産品となる。YTシリーズは力強さを感じさせるボディラインを採用し、使いやすさを追求。プレミアムトラクターとして、同社のフラッグシップモデルに位置付けられている。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら

0 コメント :

コメントを投稿