2015/11/06

【記者座談会】技能競技大会、団体の全国大会に見る“職”の変化

A 毎年この時期は、工事が繁忙期に入る前なので、企業や団体の技能競技大会が盛んだが、ことしはどうか。(写真は東京電業児湯会の電気工事士技能競技大会)

B グローバル化が進んでいることを反映して、競技大会に海外からも参加者が増えている。ある昇降機メーカーは、イスラム教徒からラマダン(断食)の時期は避けてと言われているそうだ。イスラム教徒の食事はハラルでなければいけないので、対応も大変だ。お酒そのものはだめだとすぐに分かるが、お酢にも微量のアルコールが入っているため、これを使った料理が大丈夫かどうかまで気を配る必要がある。大会会場近くに中東料理の店はなかったから、夜の食事はインド料理屋に頼んで仕出ししてもらったと言っていた。
C 8月にブラジルのサンパウロで技能五輪国際大会が開かれ、配管部門で千代田設備(新潟市)の清水龍二さんが銅メダルを獲得した。全国管工事業協同組合連合会の大澤規郎会長は、国際大会でメダルを取った選手は、年齢や実務経験などに関係なく、無条件で国土交通省の建設マスターにすべきではないだろうかと指摘していた。若くても、腕は一流と世界的に認められたわけだから、検討する余地はあると思う。
D ある設備工事会社の協力会社を対象にした表彰式で、コメントを求められた30代の若手技能者は「毎日けがをしないで帰ることを目標にしている」と話し、会社として受賞した社長は「社員を無事に帰すことを心掛けている」と強調していた。優れた技術や技能は、ベースに安全があって初めて発揮できるということがひしひしと感じられた。まさに“無事これ名馬”といえる。
 
A ところで北陸新幹線が3月に開通して以来、金沢市では団体の全国会議ラッシュのようだね。
D 日本空調衛生工事業協会は、10月28日に全国会議を開いたが、ホテルなどを2年前に予約していたそうだ。会議では、女性技術者だけによるパネルディスカッションが初めて開かれ、その中で、「子どもが生まれれば、パパさん社員にも気を使ってほしい」という意見が印象に残った。女性だけに残業なしの勤務などを認めるのは、裏を返せば女性に子育てを押しつけていることになる。男性社員にも特例を認め、その代わり相応の育児負担をさせれば、男性も「わがこと」という意識が生まれ、職場全体の雰囲気も変わるのではと感じた。
E 建築設計関係でも日本建築士会連合会と日本建築家協会(JIA)が全国大会を開いた。戦災を逃れた古い城下町が残る一方で、SANAAの「金沢21世紀美術館」や谷口吉生氏による「鈴木大拙館」など話題の建築もあって街歩きイベントなどが好況だった。
A 大会ではどんなことが話し合われたのか。
E いずれも「まちづくり」を議論の中心に据えた催し物が数多く開催された。伝統と現代が融合した金沢にふさわしいテーマだったと思う。士会連合会では住宅設計を重視する女性委員会、建築士の社会貢献を広げる青年委員会、専門家の地域連携に取り組むまちづくり委員会による3委員会合同セッションが開かれた。日常的な交流の少ない各委員会が連携するのは全国大会ならではだろう。
F JIAでも建築のストック活用をテーマにしたシンポジウムに多くの建築家が参加した。個人のストックが社会のストックになっていない問題に対し、全国的に関心が高まっているように感じた。
A 来年3月には北海道新幹線新青森~新函館北斗間が開業する。今度は函館での全国大会開催が多くなるのかな。
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