伊藤裕子設計室(埼玉県熊谷市)が設計を手掛けた「KUMAGAYA SUMMER HOUSE」は、埼玉県内でも特に夏の気温が高いことで有名な、熊谷市の田園地帯に計画した住宅である。
木造平屋建て約100㎡のシンプルな住宅は、周辺の緑と絶妙に調和し、風景の一部のようにたたずんでいる。
伊藤代表は「熊谷という土地特有の夏の暑さ、冬の寒さを生かした機能を持たせるように工夫した」と話す。夏の日差しをカットする1.4mの深い庇や卓越風を効果的に取り込む袖壁によるウインドキャッチャーなど、パッシブな手法を重ねることで自然エネルギーを活用する家づくりを目指した。
20代の家族世帯が長く住まうための女性らしい繊細な配慮もある。玄関へのアプローチをスロープに、屋内の扉はほとんどを引き戸にした。
この自然な心地よさを感じる住宅は、2013年の第2回埼玉建築文化賞の住宅部門、14年の第2回埼玉県環境住宅賞建築部門でそれぞれ優秀賞を受賞した。
伊藤代表は「閉じられて完成した建築でなく、ともに育ち、開かれる建築であるべきだ」と、社会とのつながりをテーマに掲げている。後世代の支援にも積極的だ。
地元である熊谷の「少しでも役に立てたら」と、ベテラン建築家は常に謙虚な姿勢で街を支えている。
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