2015/11/04

【戦略的広報推進協】匠の技や最新技術に熱視線! 初の中学生対象キャラバン開催


 熟練の技に熱視線--。多感な年代に建設業の役割や、ものづくりの魅力を直接語りかけ、理解を深めてもらおうという、中学生を対象とした初のキャラバンが10月31日にさいたま市立春里中学校で開かれた。国土交通省や建設業団体などで組織する「建設産業戦略的広報推進協議会」(事務局・建設業振興基金)が実施したもので、1年生の約270人が参加。大工職人として匠の技を極めた宮沢俊哉アキュラホーム社長による鉋がけの実演に、生徒たちは目を丸くしながら「何年ぐらいでこの技術を身につけられましたか」「薄く削るコツは」などと矢継ぎ早に質問する声が上がった。

 冒頭、体験授業を企画した国土交通省土地建設産業局建設市場整備課の木村実課長を始め、関東地方整備局建政部の下岡壽建設産業調整官、土木学会の黒川信子氏、藤井俊逸氏、埼玉県左官業協会の五十嵐正志会長、アキュラホームの宮沢俊哉社長、大和ハウス工業の杉本マキ氏が講師として紹介された。
 代表して木村課長があいさつし、建設産業のものづくりについて「違う場所で違うものを一つひとつ注文してつくっており、高い技術を持った人たちがチームワークを良くして立派な道や橋、建物などができる」と大量生産する分野との違いを説き、「身近な産業であることを体感し、将来、興味があれば勤めることも考えてほしい」と生徒たちに呼び掛けた。

手触りを確かめる生徒

 宮沢社長は「五感で感じてほしい」と、生徒の前で鉋がけを披露し、加工前と加工後の木材の手触り感などを生徒に実感してもらった。鉋がけによって顔や文字が映るまでツルツルになった木材や、その透き通るような削り華(けずりばな)を手にとり驚く生徒たちに宮沢社長は、ものづくりが好きだった少年時代から、大工の修行時代へと話題を展開。「厳しくつらい修行の中で、人がなかなかできないことができるようになり、楽しくなってくる」と、さまざまな職業に通じる“腕を上げる”厳しさと楽しさを、自身の経験をもとに分かりやすく伝えた。さらに、仕事に当たっては「8割は準備や用意」と“段取り八分”の大切さも説き、生徒たちは熱心に聞き入っていた。鉋がけで出た削り華(ばな)は生徒にプレゼントした。

職人体験の壁塗り

 座学では、建設業振興基金経営基盤整備支援センター人材育成支援課の宮岡早苗課長代理が、建設業にまつわるクイズなどで生徒と交流を深めるとともに、海外で活躍する人や最先端技術などを紹介した。

ロボットスーツを体験

 座学のほか、生徒が班に分かれて移動しながら学ぶ展示・体験コーナーも充実。土木学会は、橋やトンネルの仕組み、地すべりやがけ崩れのメカニズムを模型を使って分かりやすく説明した。大和ハウス工業は重量物を軽く持ち上げることができるロボットスーツの効果を実際に生徒が装着することで確認してもらい、関心を誘った。
 アキュラホームは釘打ち、のこぎり、鉋がけ、埼玉県左官業協会は壁塗りなどのポイントを伝授しながら生徒に取り組んでもらい、好評を博した。展示コーナーでは下岡課長が土木の重要性や建設産業の必要性を説明した。
 閉会式では参加した生徒から「建設産業に携わる多くの人が社会を支えていることが分かった」とお礼の言葉が寄せられた。
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