2015/11/29

【BIM】激化するファミリ開発の動き 設備機器データの一元化「BIMライブラリー」はどうなる? 


 建築設備分野のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)導入機運が高まる中で、下支え役のBIMベンダーも環境整備を加速しつつある。目立ってきたのは設備関連の部品データ(ファミリ)を拡充する動きだ。オートデスクは建築設備設計者向けBIMソフト『Revit MEP』の技術サポート契約者を対象に設備ファミリの無償提供を始めた。

 提供数は726点。拡充に乗り出す背景には、新規ユーザーの獲得につなげる目的がある。MEPが日本で販売されたのは2008年だが、複数の建築設備CADベンダーが存在する激戦区。既に同業他社は自らのソフト向けファミリを充実させており、それに追随しようとする狙いも見え隠れする。
 ファミリ開発に協力したジオプラン(東京都文京区)はAutoCADベースの建築設備3次元CADシステム『Brain Gear』(ブレインギア)を提供する中で、これまでにAutoCADに1万を超えるファミリを提供する実績を持つ。営業部の豊田泰史課長は「建築設備分野のBIM精度が上がるにつれ、ファミリのニーズはさらに強まってくるだろう」と強調する。
 既にブレインギアのユーザーには空調衛生、電気設備関連のファミリ2万点を提供済み。MEP向けには代表的なパーツを選び、属性情報を付加した形で使い勝手を高めた。プロダクトマーケティング部の田口伸二氏は「設備分野は部品数が多いこともあり、メーカー品ではなく、標準的なサイズをモデル化した」と話す。ベンダーにとっては膨大な数の製品データに対応することは難しいのが現状だ。

BIMライブラリー構築に向けたコンソーシアムの発足式

 国内では建築保全センターが音頭をとり、設備機器などの3次元パーツデータを一元的に集約・提供する「BIMライブラリー」の構築がいよいよ動き出した。設計事務所、ゼネコン、設備工事業などのBIMユーザーともに、BIMベンダーの姿も多く、団体と企業合わせて57者が、事業化に向けたコンソーシアムへの参加を表明した。
 2019年度からの事業開始を目指した具体的な検討作業がスタートした形だが、現時点ではBIMソフトごとにファミリが存在している。建築設備の関連製品は配管部品、空調・衛生設備、ダクト、タンク・ポンプなど多品種であるだけに、ライブラリー化には業界を挙げた対応が以前から必要視されてきた。
 ベンダー各社が自社ソフト向けファミリの充実に力を注ぐ中で、動き出した製品データのBIMライブラリー化はどういう影響をもたらすか。ライブラリーに製品データを提供する際、メーカー側には一定の受益者負担が求められる可能性もある。BIMの普及を下支えする重要素材としてのファミリを、誰が作成し提供していくかという議論がわき上がる可能性もある。
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