2015/11/21

【豊洲市場】開業まであと1年! 世界最先端の「安全安心」実現する設備


 東京の物流の新たな拠点となる「東京都中央卸売市場豊洲市場」。開業まで1年を切り、躯体工事は概成、設備・内装工事など施設完成に向けた作業が本格化している。世界最先端の設備を備えた、「都民の新たな台所」となる新市場に各方面から注目が集まっている。

 新市場は築地市場とは異なり、大規模卸売市場としては初の閉鎖型となる。衛生面での安全性向上とともに、コールドチェーンを採用。施設内の温度管理を徹底することで、扱われる農作物や水産物の鮮度を保つなど、取扱量だけでなく安心・安全面で「世界最先端」の卸売市場となる。
 また、水産仲卸売場棟(6街区)と水産卸売場棟(7街区)は、補助315号線の地下4カ所で連絡通路を整備。交通の安全を確保しつつ、業者が自由に行き来できる環境を実現する。

水産仲卸売場棟外観。屋上には緑地公園が整備されている

 水産仲卸売場の1階部分西側は、1区画24ha、全49区画の店舗が整備される。店舗の間を走る通路は、東西方向が物流、南北方向が人の流れとすることで、市場内での流通をスムーズにするとともに、衝突事故などを防止する。見学ルートは主に2階に配置され、売場東側で実施されるマグロの競りなどを、ガラス張りの壁を挟んで見下ろすことになる。
 青果棟(5街区)では、3階に加工室を整備。垂直搬送機で1階から運搬し、その場での加工が可能となる。
 屋上緑化広場も主に見学者に開放される。敷地外側に整備した水際緑地まで直通のエレベーターを設置するなど、市場見学以外にも観光客が楽しめる工夫が随所になされている。
 敷地全体で12haにもなる屋上などの緑化や、国内有数規模となる太陽光発電の導入など、環境への配慮も徹底している。さらに周辺地域への配慮として、大規模な屋上緑化広場や水際緑地も整備する。単なる物流施設としてではなく、外観にも配慮した。6、7街区は「食品を包み込む」を外観のコンセプトとし、施設全体を手で包み込むイメージで、緩いカーブを描くデザインを採用した。
 一方で課題となるのは、市場に出入りする「人」の管理だ。入場する車両については事前に車両登録を実施するなどの方法で管理可能だが、市場を利用する業者と見学者を合わせると膨大な人の出入りが想定されるため、「安全な市場」を維持するために、どのようなセキュリティーシステムを導入するか、今後さらに検討を重ねる必要がある。

内装・設備工事が進む現場。今後は最大で1日に約8000人の作業員が
現場で作業することになる

 現在の工事の進捗は、5街区が8割程度で、全体としては6割程度が完了している。設備・内装工事なども本格化すると、最大で1日に約8000人が現場で作業することになる。非常に大規模な現場であることから、工事事故の発生防止のためにユニット作業などを実施するなど、安全面でもさまざまな工夫がされている。2015年度内には本体工事を完了、16年10月の全体完成、11月7日の開業を目指す。
 新市場は、SRC一部S造5階建て延べ16万9274㎡の水産仲卸売場棟(6街区)、SRC一部S・RC造5階建て延べ12万1053㎡の水産卸売場棟(7街区)、SRC一部S・RC造3階建て延べ9万3754㎡の青果棟(5街区)、RC一部SRC造6階建て延べ2万3666㎡の管理施設棟(7街区)で構成し、総延べ床面積40万㎡を越える総合市場となる。
 施工は、水産仲卸売場棟を清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・錢高組・東洋建設JV、水産卸売場棟を大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木JV、青果棟を鹿島・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本工業JV、管理施設棟は、関東建設工業・鍛治田工務店・川口土木建築工業・国際建設JVがそれぞれ担当している。設計・監理は日建設計。
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