「千年に一度はあしたかもしれない」。震災を契機として、子どもたちに対する防災教育の重要性が再認識されている。こうした中、内閣官房国土強靱化推進室は学習ワークブック「『防災まちづくり・くにづくり』を考える」を発行した。イラスト・写真を多用することで、子どもたちに自然災害の恐ろしさを分かりやすく伝えるとともに、自分たちが住む「まち・くに」を地震や大雨などから守るために何をするべきかを考えてもらう内容となっている。
ワークブックの制作は、土木学会教育企画人材育成委員会土木と学校教育会議検討小委員会の「防災まちづくり・くにづくり学習」副読本検討ワーキング(主査・藤井聡内閣官房参与)が担当。メンバーは学校教育現場の教諭や教育学者、文部科学省、防災まちづくり・くにづくりの専門家らで構成した。
A4判、全20ページからなり、前半部分は自分たちが暮らす「まち・くに」がどのような危機に直面しているかの想像を促した上で、後半部分で想像した危機を避けるために何をすべきかを考えさせる構成となっている。
巨大地震や大雨などによる大災害によって受ける被害については「災害直後」と「災害からしばらくの間」「長い間の後遺症」の3段階に分けて解説している。
その上で、災害による日本全体の不況、さらには教育も福祉もできない国になるという最悪のシナリオを避けるための対策を紹介。具体的には建物の耐震補強や堤防、砂防ダムの整備といったハード面の対策と、防災訓練および情報発信などのソフト対策の重要性を記載している。
白地図で学習するページ |
このほか、震災の発生直後から、道路啓開に当たった地元建設業の重要性を伝える内容も盛り込まれている。
ワークブックは、2016年度から全国の小中学校、高校の授業などで活用してもらう予定。これに伴い、教師用の解説本ともなる『防災まちづくり・くにづくり学習』(悠光堂、藤井聡氏・唐木清志筑波大准教授共同編集)も発刊された。執筆は産学官の多彩なメンバー16人が担当した。
教師用の解説本。多彩なメンバー16人が執筆した |
深松社長が副会長を務める仙台建設業協会では、仙台市教育委員会に出前講座の開催を提案しており、承認が得られれば早期に実施する予定だ。
学習ワークブックは、内閣官房のホームページからダウンロードできる。
建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら
0 コメント :
コメントを投稿