東北地方整備局が、震災復興のリーディングプロジェクトとして整備を進めている三陸沿岸道路登米志津川道路の三滝堂IC(インターチェンジ)~志津川IC間が完成し、10月30日に宮城県南三陸町志津川小森の現地で開通式典が開かれた。式典には安倍晋三首相も出席し、待望の開通を盛大に祝った。三沿道が津波で被災した宮城県内の自治体に延伸するのは初めてとなる。
登米志津川道路は、登米市中田町浅水を起点に、東和町を経て南三陸町志津川小森に至る延長16.1㎞の自動車専用道路。これまでに登米IC~三滝堂IC間の7.0㎞で供用している。今回開通した三滝堂IC~志津川IC間は延長9.1㎞で、区間内には、長さ1432mの登米志津川トンネル(施工=東工区・前田建設、西工区・東洋建設)などの構造物がある。
同道路の開通によって、南三陸町の基幹産業である水産業のさらなる発展や復興事業と観光のさらなる進捗・活性化が期待されているほか、災害時には東日本大震災時の津波浸水地区などの危険個所を回避する迂回路の役割も果たす。この日の式典では、冒頭、あいさつに立った田中良生国土交通副大臣が「命の道としての機能強化や震災復興への貢献などのほか、災害時の代替路も確保できる」と整備効果を紹介した。
地元代表の佐藤仁南三陸町長は「志津川トンネルの最終発破に立ち会い、南三陸の風が登米側に入ってきた時は大変感動したが、きょうは2度目の感動を迎えることができた」と喜びを語り、布施孝尚登米市長も「これまでは近くて遠い“お隣さん”だったが、今回の開通により本当の意味で隣町になった」とし、さらなる連携を図っていく考えを示した。
◆首相、整備加速を誓う
この後、来賓の祝辞や地域代表者による喜びのビデオメッセージの放映などに続き、被災地の視察に訪れていた安倍首相が、今村雅弘復興相らとともに式典に駆け付け、祝辞で「今回の開通で仙台から南三陸町まで三陸沿岸道路がつながり、地域の復興創生を図っていく上で、水産業の発展と復興まちづくりの支援という大きな役割を果たすことが期待されている」と、登米志津川道路開通の意義を語った。
その上で、「復興道路については、早期の全線整備により復興を加速していくことが重要であり、仙台から八戸までの全線の9割の区間で2018年度までに開通させていく。地元と一体となって着実に復興を加速させていくことを誓う」と決意を述べた。引き続き、安倍首相を始めとする代表者によるテープカットとくす玉開披が行われると、出席者から拍手が沸き起こった。
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