建築金物メーカーのナスタ(東京都中央区)が、新たな室内換気口製品の販売に力を注いでいる。2003年の建築基準法改正で住宅の換気基準が強化される前から、24時間換気の考え方を取り入れていた現行製品は高級ゾーンのロングラン商品として採用されている。「この性能を維持しながら、価格を3分の1に抑えることに成功した」と、設計開発部設計課の河地竜一課長は新製品への手応えを口にする。屋外換気口も高機能化し、マンション市場の開拓に向け、内と外の一体的な売り込みを始めた。
室内換気口販売の歴史は長い。同社は1960年代から旧日本住宅公団(現都市再生機構)仕様の丸型室内換気口を販売してきた。高機能で高断熱の住まい要求が求められる寒冷地では一定程度の風量を取り入れるための角型タイプや、必要な時に換気を可能にするプッシュ型も販売してきた。当時は室内換気というよりは台所を中心に酸欠防止のツールとして採用されてきた。
同社が24時間換気の考え方をベースに現行製品の『V2R』を開発したのは20年ほど前。2時間単位で室内の換気を行えるように細かく風量を調節でき、花粉対策や微粒子除去などの機能も拡充してきた。河地課長は「現在も高級ゾーンで勝負できている。大手のディベロッパーを中心に支持を得ているロングラン製品ではあるが、ボリュームゾーンでも勝負できる製品を生みたい」と、技術開発の経緯を明かす。
V2Rの直径は168mm。これは一般的な室内換気口に比べ約30mmも大きい。冬場の外からの空気は冷たくて重く、室内に入ると、下に広がる特性がある。換気の向きが下にも向けられているため、ユーザーからは空気が冷たいと指摘されるケースも少なくなかった。マイナスイオンや花粉対策、さらには微粒子除去シートによってPM2.5などもカットできる優れものだが、多機能であるがゆえに価格は6000円と、他社の製品に比べて3倍以上の開きがあった。
これらの課題を、新製品『88PR001』で解決した。3方向の吹き出し口を自由に調整できるようにし、横にカーテンなどがある場合でも風向きを変えられるように工夫した。課題だった価格も大幅に抑え、2000円で売り出すことに成功した。V20Rで採用していた断熱材や活性炭フィルターなどを取り除き、製造方法を大幅に見直すことで、コストを極限まで抑えた。
売り込みを始め1年が経過した。マンション向けの室内換気口だけに、新築案件で実際に導入されるまでには2、3年ほどかかるが、既に多くの引き合いがあり、順調に推移している。そうした中で「外によって内が生きる」と、担当部署に檄を飛ばすのは同社の笹川順平社長だ。そもそも換気システムは室内側と屋外側が密接な関係性を生むことから「室内換気口と屋外換気口を一体的に売り込め」と指示を出している。
24時間換気のニーズを背景に開発した防音フード付きの屋外換気口は「台風の時でも中に入ってくる風量は同じ」(河地課長)で安定した空気を取り込める。もともと屋外換気口は換気しやすいように横ルーバーの構造が一般的だが、場所によっては雨や風が入りやすい。換気口を覆うようなフードタイプを発売してきたが、取り付けた換気口が外から見えてしまうため、どうしても雨や風の浸入があった。
そこで深型フードを考案し、雨や風の浸入を抑える効果を見いだしたが、デザイン性をさらに高めたいと、出幅を抑えた角形のシンプルなスーパースリムフードに行き着いた。河地課長は「サッシの性能が上がる中で、防音ニーズも高まっている。グラスウールを入れることで、音吸収の機能も向上させた」と防音フードの効果を強調する。
同社は内と外のコラボレーションで、マンションの換気ニーズを取り込もうと動き出した。
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室内換気口販売の歴史は長い。同社は1960年代から旧日本住宅公団(現都市再生機構)仕様の丸型室内換気口を販売してきた。高機能で高断熱の住まい要求が求められる寒冷地では一定程度の風量を取り入れるための角型タイプや、必要な時に換気を可能にするプッシュ型も販売してきた。当時は室内換気というよりは台所を中心に酸欠防止のツールとして採用されてきた。
同社が24時間換気の考え方をベースに現行製品の『V2R』を開発したのは20年ほど前。2時間単位で室内の換気を行えるように細かく風量を調節でき、花粉対策や微粒子除去などの機能も拡充してきた。河地課長は「現在も高級ゾーンで勝負できている。大手のディベロッパーを中心に支持を得ているロングラン製品ではあるが、ボリュームゾーンでも勝負できる製品を生みたい」と、技術開発の経緯を明かす。
カバーが回転し、風向きを変えられる |
これらの課題を、新製品『88PR001』で解決した。3方向の吹き出し口を自由に調整できるようにし、横にカーテンなどがある場合でも風向きを変えられるように工夫した。課題だった価格も大幅に抑え、2000円で売り出すことに成功した。V20Rで採用していた断熱材や活性炭フィルターなどを取り除き、製造方法を大幅に見直すことで、コストを極限まで抑えた。
売り込みを始め1年が経過した。マンション向けの室内換気口だけに、新築案件で実際に導入されるまでには2、3年ほどかかるが、既に多くの引き合いがあり、順調に推移している。そうした中で「外によって内が生きる」と、担当部署に檄を飛ばすのは同社の笹川順平社長だ。そもそも換気システムは室内側と屋外側が密接な関係性を生むことから「室内換気口と屋外換気口を一体的に売り込め」と指示を出している。
24時間換気のニーズを背景に開発した防音フード付きの屋外換気口は「台風の時でも中に入ってくる風量は同じ」(河地課長)で安定した空気を取り込める。もともと屋外換気口は換気しやすいように横ルーバーの構造が一般的だが、場所によっては雨や風が入りやすい。換気口を覆うようなフードタイプを発売してきたが、取り付けた換気口が外から見えてしまうため、どうしても雨や風の浸入があった。
防音機能を高めた屋外換気口 |
同社は内と外のコラボレーションで、マンションの換気ニーズを取り込もうと動き出した。
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