2015/05/10

【JIA宮城】「社会科学と自然科学の合理性を橋渡ししたい」 マウントフジアーキテクツの両氏が講演

日本建築家協会東北支部宮城地域会(JIA宮城、安達揚一地域会長)は、仙台市青葉区のせんだいメディアテークでJIA新人賞受賞講演会を開いた。『shore house・海辺の家』で2014年度の同賞を受賞したマウントフジアーキテクツスタジオの原田真宏・麻魚両氏が、処女作から近作までを紹介するとともに、「社会科学と自然科学の合理性を橋渡ししたい」と各作品の根底に共通する設計思想を語った=写真。

 処女作となった『XXXX・焼津の陶芸小屋』は、施主が自動車購入費用としていた150万円の予算でつくったアトリエ。「極限まで合理性を突き詰めてデザインに転化したプロジェクト」(真宏氏)は、セルフビルドを実現するため、全ての部材を人力で運べるように構築したという。
 『TreeHouse』では、「生物界では合理的な考え方」(同)という極座標を採用。木の幹を中心に据えつつ、不整形な住宅街の敷地に合わせて、長さの違う枝が広がるように空間を決めた。こうした新工法や新規格は「実寸の模型などをつくり、職人さんにわかりやすく伝えることが事務所の伝統になっている」(同)という。
 受賞作の『海辺の家』は、「施主の趣味」としている海辺に流れ着いたものを集めて立体形をつくる“ビーチコーミング”の考えを取り入れた。豊かな自然に恵まれた敷地の秩序をよりどころに、「自然や人工など由来に関係なく集まった素材の声を聞き、その性質に合わせてうまく再分配することで、均質ではないが大らかな関係で素材同士が結びつく建築が生まれた」(同)と語った。
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