2015/05/19

【働きかた】オフィスビル共用部の充実に女性ならではの視点 三菱地所都市開発一部・白石沙弥さん

ことし3月に竣工したオフィス「フロントプレイス御成門」(東京都港区)では企画と内外装を担当した。“快適性がオフィスワーカーの知的生産性向上に結び付く”というコンセプトに基づき、居心地の良いオフィス空間の実現を目指した。女性のオフィスワーカーが増える中、「共用部を充実させることで、女性の働きやすさにつながり、社会ニーズにも応えることができる」と考えている。フロントプレイス御成門では「女性ならではの視点」で、設備の一つひとつにこだわりを見せた。

 具体的には、エレベーターのドアを深緑色にし、木質の操作パネルとするなど、近くの芝公園をイメージするような自然の雰囲気を取り込んだ。「エレベーターホールに出た時に、違う世界に来たような空間をつくる」ことで、「よりリフレッシュでき、集中して仕事に取り組むことができる」。広々としたエントランスの天井裏にはアロマディフューザーを設置し、空調からアロマの香りが流れてくる仕掛けも。
 女性トイレには、中規模オフィスでは珍しい化粧スペースを確保した。「テナントでも女性就業者が多い企業が増えており、ニーズをとらえたオフィスを提供する」ことが必要だと指摘する。
 屋上には芝公園や東京タワーを一望できるテナント専用のリフレッシュテラスも整備した。木製ベンチや植栽を配し、リフレッシュタイムや打ち合わせなどに利用できる。「屋外にしたことで、容積を使わずにテナントサービスに寄与できるスペースを確保できた」と語る。
 ディベロッパーを志望したのは幼少時の体験がきっかけだ。神戸市出身で震災を経験。被災者としてつらい思いをしたが、復興していく街に勇気付けられた。「人に可能性を与えられる街をつくりたい」との思いも募った。
 現在入社6年目で、最初は商業施設業務部に4年間在籍した。昨年から都市開発一部に異動、「フロントプレイス御成門」が担当として初めて竣工を迎えたオフィスとなっただけに、思い入れは強い。「建物ができるのがゴールではなく、そこで新しい事業が生まれることにより、社会に貢献できたら」と、場がもたらす力に期待する。
 住宅や商業施設に比べ、「オフィスビルは、女性の開発担当者が少なく、まだまだ女性の意見を取り入れる余地がある」と感じている。「少子高齢化を迎える中、女性の社会進出は必要。ディベロッパーとしても少しでも手助けをしたい」と力を込める。
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