2015/05/02

【現場最前線】首都高に100m級橋梁が続々! 橋桁架設工法の“競演”を見逃すな!

首都高速道路会社が、2020年の東京五輪開催に向けて進めている高速10号晴海線(晴海出入口~豊洲出入口)。開発が加速する東京臨海部、晴海・豊洲地区の交通需要を高速湾岸線に誘導する役割を担うほか、高速9号深川線、11号台場線のバイパス的機能が期待されている。晴海運河に架ける5径間連続鋼床版箱桁橋の中央部分の架設は「台船リフトアップ架設工法」を採用。国内最長となる143mの橋桁をリフトアップ設備を備えた台船によって一括架設した=写真。「長スパン、長径間の大型橋梁が多く、今後もダイナミックな橋桁の架設が続く」。東京建設局の並川賢治建設部長が話すように、17年度完成をめざす約1.2㎞の施工現場では、吊り上げ一括架設や送り出し架設、ベント架設など多彩な架設工法が控えている。

 晴海、豊洲地区は、ウオーターフロントの特性を生かした複合市街地が形成され、晴海、勝どき、月島地区では超高層マンション建設が急ピッチで進む。また、豊洲地区は16年11月開場予定の豊洲新市場、晴海運河を挟んだ晴海地区には東京五輪の選手村が計画されている。
 こうした中、首都高速晴海線は、晴海出入口(中央区晴海2丁目)~東雲ジャンクション(JCT、江東区有明2丁目)間約2.7㎞のうち、豊洲出入口~東雲JCT間約1.5㎞間が09年2月に開通。03年2月に着工した晴海出入口~豊洲出入口間約1.2㎞が建設中だ。

台船に乗せて曳航
4月22日午前5時30分。晴海運河。4カ所のリフトアップタワーを備えた台船上で、マルチストランドジャッキを使って、長さ143m、幅14.2m、重さ1800tの橋桁のリフトアップを開始した。潮位と風に留意しながら、リフトアップとバラスト排出によって所定位置まで持ち上げ、位置調整後、午後2時30分に閉合し、午後7時には架設を終えた。施工は、詳細設計と製作・架設を含めてIHIインフラシステム・横河ブリッジJVが担当。大阪・堺工場で製作した部材を運び横浜工場で組み上げた。3000t起重機船で浜出し、台船(1万4500t積み)に乗せて豊洲大橋下を通って所定位置まで曳航した。
 同工法の採用について、並川部長は、「隣接径間の架設を待たずに架設することができるため、工期短縮につながる」と説明する。

完成模型。豊洲地区(手前)から晴海運河を渡り晴海地区に伸びる高速晴海線(中央)。両側は放射34号線
「工事の進捗率(支出額ベース)は、約14%」(並川部長)。基礎工や橋脚から上部工など晴海地区側を先行し、今後は豊洲地区側の工事が本格化するという。現在、基礎工まで完了しており、16年にかけて6本の橋脚を立ち上げる予定だ。17年には同部分の上部架設に入る。

並川賢治建設部長(東京建設局)
構造上の特徴について、並川部長は「長スパンと、5、6径間といった長径間の橋梁が多い。100m級の橋梁が軒並みあり、70m以下はない」と話す。このため、「今後もダイナミックな架設が続く」という。7月ごろと来秋には吊り上げの一括架設を予定。また、送り出し架設を新交通ゆりかもめとの交差部分なども含め5、6カ所で行うほか、ベント架設も実施する。
 東京五輪開催時には、選手村と各競技場を結ぶ重要路線。約1.2㎞の施工区間では、安全を最優先に、施工上の制約や工期短縮などの工夫を凝らした多種多様な橋桁架設工法の“競演”が控えている。
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