2015/05/22

【記者座談会】“まちづくり”にステップアップのチャンス 五輪競技開催予定区トップの意気込み

A 4月の統一地方選では東京都内で、11区6市の区・市長選があった。2020年開催の東京五輪や、少子・高齢化対策を見据えたまちづくりが注目されるが、会見ではどのような発言があったのかな。
B 多くの五輪会場が予定されている江東区では、山崎孝明区長が今後について「大きくステップアップするチャンス」と、意気込みを見せている。五輪競技場周辺の環境整備だけではなく「五輪後も区民がスポーツを楽しめる」まちづくりを目指している。
 ただ、豊洲新市場商業拠点「千客万来施設」の事業予定者が辞退したことについては、東京都に抗議文を提出したことを明かしていた。抗議文では原因の1つが「都市計画道路補助第315号からの搬出入路を確保したいという事業予定者の要望に対する青果市場関係者の反対と聞いている」として、都が双方の主張を調整する役割を「十分に果たしてこなかった責任は重大」とした。

A 区長自身、都議会時代から築地市場移転問題に携わってきたから、思い入れも強いのだろうね。
C 日本の玄関口である羽田空港を抱える大田区では、松原忠義区長は東京五輪に向け「どうやって発展していくべきか前向きに捉えていきたい」と話している。五輪をきっかけとした、スポーツによる区民の健康づくりも進めていく方針だ。平和島公園内にある平和島ユースセンターでは、新たに国内外のアスリートを利用者のターゲットとし、宿泊型複合施設としての活用を目指し整備をしていくという。
B カヌー・スラローム競技が行われる江戸川区では、多田正見区長が区民参加のもと、区として「五輪に対して何ができるか集約議論をして、“核”のようなものをつくりたい」と、機運を高めるための取り組みを進める。
A 少子化で悩む自治体が多い中、江戸川区は23区で一番の出生率だといわれるが。
B 全国的に見ると高い数字ではない。現在、進めている20年かけて70校以上を順次建て替える小・中学校改築プロジェクトを計画どおり行うことで「若年世代の将来支援策」にもつながるとしている。
C 墨田区では、両国国技館がボクシング会場として予定されていることから、これを契機に観光政策に注力していこうとしている。区内では既に刀剣博物館、すみだ北斎美術館など観光資源になりうる施設の整備を進めている。初当選した山本亨区長は「これは大きな追い風だ。区を挙げてまちづくり、おもてなしの準備をしっかりやる」と意気込んでいる。まずは施設整備について、開催までの5年間にどのようなものがつくれるかを判断し、早急に取りかかるとした。
 また、「高齢者の皆さんにいきいきと暮らしてもらい、このまちで老後を過ごして良かった、というまちづくりをしていかなければならない」と話した。
A 今月17日の区長選があった足立区はどうかな。
B 3選を果たした近藤やよい区長は、翌18日の記者懇談会で、区の高齢化率が24%超と高いことに危機感を覚えていた。それだけに「若年者を呼び込む施策が重要になってくる」と強調していた。その一環が、最近続けて発表された文教大学や、東京女子医科大学東医療センターの進出だ。他の区有地の活用も進めていくという。
A 今後も複数の区・市で会見が予定されている。今後のまちづくりに向けた発言に注目したい。
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