2015/06/07

【素材NOW】新素材基板で劣化低減、マイナス30度~60度で使用可能! 関電工の高天井用LED照明

関電工が、発光効率や耐久性を高めたLED(発光ダイオード)照明器具を開発した。発光する部分を支える基板にアルミとカーボングラファイトを配合した新素材を採用し、LEDが高温になるのを防ぐことで発光効率や寿命を向上させている。また、LEDと基板を接続するハンダへの熱収縮の影響を抑えられ、劣化を抑えることにも成功している。仕様環境温度はマイナス30度から60度までと従来より幅広い温度帯で活用でき、高温になりやすい工場や倉庫などをターゲットにしていく。9月にも販売を開始する。

 発光部となるLEDチップは、中心部の発光素子の温度により寿命や発光効率が大きく変動する。発光素子の温度が25度であれば発光効率は120%に近いが、150度に上がれば80%ほどに低下する。また、発光素子の温度が85度の場合と105度の場合を比べると、1万時間を超えたあたりから急速に寿命が短くなることが分かっている。LED照明器具を効果的に運用するには、チップで発生する熱を外部に逃がす仕組みが求められている。
 今回の開発では、LEDチップを乗せる基板の素材を改良した。従来はアルミが使われていたものの、外部やその下にある放熱材に熱が伝わりにくく、その結果、LEDに熱が伝わり高温になる課題があった。新素材は放熱効率が高く、LEDに過度に熱が伝導することがなくなり、発光効率の向上や長寿命化につながる。
 また、新素材は熱膨張率をLEDと同等にしている点も特徴だ。アルミの場合はLEDより3倍の熱膨張率があり、伸縮に違いがあるため基板とLEDをつなぐハンダにクラックが発生し、照明器具が劣化する点が問題視されていた。特に点灯や消灯を繰り返すことで収縮も発生していた。新素材の熱膨張率がLEDとほぼ同じであれば伸縮によるクラックが発生しにくく、故障を抑えている。
 また、LEDの使用環境温度も従来より高温や低温な環境でも点灯を可能にしている。特にS造平屋建てで天井高が高い工場や倉庫では、上部空間の温度が高温になり、従来のLEDでは適用が難しいケースも多かった。従来の照明より高温でも対応できるので、そうした施設で活用していきたい考え。現在は実際の工場でも実証中で、そうした場でも適用できているという。
 器具の光束は1万1800ルーメンで、消費電力を考慮した器具の効率は1ワット当たり112.4ルーメンとなっている。400ワット水銀灯の4分の1の電力で同じ床面照度を確保することが可能で、省エネ性能や効率性も高めている。
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