2015/06/05

【記者座談会】社長の顔、晴れ晴れ 好業績残した3月期ゼネコン決算説明会

A 2015年3月期決算ではゼネコン各社ともおおむね好業績を残した。決算説明会が5月中旬以降に相次いで開かれていたけど、取材を通じての雰囲気はどうかな。
B 好業績を受け、説明に立つ社長の表情が晴れ晴れとしていたのは各社とも共通だ。連結ベースで受注高、売上高、各利益とも過去最高を更新したあるゼネコンの社長は、これまでにも増して説明に力が入っていた。まさに“舌好調”だった。

A あるゼネコンの担当者に聞くと、ここ数年はアナリストなどの注目度合いが格段に高まっており、決算説明会への出席者も増加傾向にあるという。説明会後も個別の説明要請が多く、対応に忙殺されている担当者も少なくないみたいだ。
B 決算では、土木工事で高い粗利率を確保した社が複数あった。あるゼネコンの説明会では、社長が「高利益率の工事を社内では“目玉商品”と呼んでいる。目玉商品が貢献して粗利が高かった」と明かした。
D 土木工事の利益率改善は設計変更の恩恵が大きい。16年3月期も、ある程度の設計変更分を見込んで前期より高い利益率を予想する社もある。
A 団体のパーティーであるゼネコンの社長は、「東京五輪までは任せてくれ」と当面は好環境が続き、業績も堅調に推移すると自信を見せていた。確かにここ数年は五輪関連などの好材料が見込めるが、ポスト五輪を考えると、施工体制など検討すべき点も多いのでは。
D 説明会でアナリストたちを前に「事業環境が良いので、人を増やしたい気持ちもあるが、人は金を食う。将来を考えると、適正規模の要員で仕事をしていきたい。一方で、就職も売り手市場でなかなか目標の人員を確保できない現実もある」と説明するゼネコントップもいた。
C ゼネコン各社が公表した中期経営計画には、株主資本利益率(ROE)や配当性向を新たな目標数値として盛り込む動きも相次いでいるが、ものづくりの基本を支えるのは人と技術力だ。投資家を意識した経営も大事だが、数字だけに踊らされることなく、足腰をしっかり鍛錬しておくことが肝要だろう。
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