A 過去最高益の更新が相次ぐなど、ゼネコンの中間決算が好調だけど、日本建設業連合会加盟企業(97社)の受注状況はどうかな。
B 2016年度上期(4-9月)の国内受注額は過去20年間で2番目に高い7兆2320億円だった。20年東京五輪に伴う需要増で、当面の受注環境に大きなマイナス要素も見当たらない。10月単月の受注総額は前年同月比6.6%増の9950億円で8月以降、3カ月連続増加した。4月からの累計受注額も8兆2790億円となり、高水準をキープしている。日建連が11月21日に開いた、ことし最後の理事会後会見では中村満義会長が会員企業の好調な中間決算について触れ、「この機会を逃すことなく、建設業の担い手である技能者の処遇改善を進めて魅力ある建設業をつくっていきたい」と改めて決意表明していた。
A 山内隆司副会長・建築本部長も受注環境の好転を受け、「少なくとも五輪まではこの傾向が続くと思っている」との見解を示していた。五輪後の状況も心配だが、各社が注視するのは19年とも言われる施工のピークへの対応だ。
C 需給ひっ迫による労務・資材費の高騰も予測される中、いかに安全・品質・利益を確保しながら施工に当たるのか、各社の力量が問われている。中村会長の発言にあったように、各社の業績が好調ないまがチャンスであることは疑いようがない。建設現場の生産性向上や社会保険未加入対策などの処遇改善と、さまざまな課題が突きつけられているが、好機を逃さず業界全体として大きな一歩を踏み出してほしいね。
■産学官民が一丸となった「インフラメンテナンス国民会議」発足
A ところで、11月28日に約200もの企業、団体、行政機関が設立メンバーとして参画する「インフラメンテナンス国民会議」が発足した。その狙いは。
D まずはインフラメンテナンスに取り組む社会全体の機運醸成ということが挙げられる。産学官民が一丸となったプラットフォームというキャッチフレーズからも明らかなように、メンテナンスを効率的かつ効果的に行っていくための異業種間の連携(オープンイノベーション)や、そのイノベーションが生み出す革新的技術の開発・実用化が念頭にある。実際に石井啓一国土交通相は29日の閣議後の会見で、国民会議の設立の意義について、「建設分野に限らず、ICT(情報通信技術)、ビッグデータの解析、材料、加工技術などさまざまな業種の連携や技術の融合を加速して、最先端の技術の活用を促すことで、メンテナンス産業の育成・活性化に取り組んでいきたい」と述べている。
A 確かに設立メンバーを見渡しても、建設企業が特別に多いという印象は受けない。ICT関連企業や点検・センサー関連の企業などいわゆる異業種がメンテナンス市場にビジネスチャンスを見い出していることがうかがえる。
E 老朽化インフラへの対応がクローズアップされた12年12月の笹子トンネル事故から4年。道路の定期点検の義務化などを背景に、メンテナンスの重要性は施設管理者を中心にかなり浸透してきていると言える。これからは将来に向かっていかに維持管理・更新費用を抑制していくか、そして点検、診断の先にある改修や更新といった「措置」段階にいかに革新的な技術を導入していくかということに焦点が移っていく。国民会議の設立によって、建設産業にとってもメンテナンス市場への対応が本格化することになりそうだ。
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