阪神高速道路会社は11月29日、高速道路リニューアルプロジェクト(大規模更新・修繕事業)の現場見学会を開いた。西船場JCT(仮称・信濃橋渡り線)改築事業の現場で既設橋脚の拡幅や大規模地震時に揺れを制御する鋼管集成橋脚の施工状況を公開した。2019年度の完成へ向け、工事を進めていく。
西船場JCT(ジャンクション)改築事業では、現在、未接続となっている大阪港線東行きと環状線北行きを接続する延長1.7㎞の付加車線(大阪港線800m、環状線710m)および信濃橋渡り線(180m)を整備し、神戸・湾岸方面から池田、守口方面への連絡を強化する。西船場周辺にある湾岸線と大阪港線が合流する阿波座合流部は現在、1日当たりの平均渋滞継続時間が10.4時間と、同高速道路の中でも上位の渋滞個所となっており、事業完了によって渋滞緩和に期待が寄せられている。
付加車線工事では、拡幅する橋脚17基のうち、10基でアルカリシリカ反応(ASR)が起きており、このうち4基で強度の低下を確認したため、梁部分を撤去し再構築する作業を進めている。
さらにJCT工事では、阪神・淡路大震災クラスの地震に対応するため、同社が開発した鋼管集成橋脚を12基設置する。新橋脚は4本の鋼管と複数段の横つなぎ材(せん断パネル)で構成、基礎部はフーチングを採用せず、杭基礎と一体構造としている。大規模地震発生時にパネルをあえて損傷させる仕組みにより地震エネルギーを吸収し、揺れを制御する。
施工は下部その他工事を清水建設、鋼桁および鋼製橋脚その他工事を横河ブリッジ・横河工事JVが担当している。
また同日、同社幹部らが出席し、リニューアルプロジェクトの全体概要説明を行った。
14-29年度の15年をかけて実施する更新計画のうち、昨年度に事業化した堺線湊町付近の橋梁基礎取替事業(対象9基)では、今年度から将来に向けた永続性と長期耐久性の検討を進めている。今後は現場着手に向け関係者との調整に入る。
神戸線湊川付近の橋梁桁・床版取替事業では、16年度から事業に着手した。今年度は疲労による損傷などの本格的な詳細調査を進めている。
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