LIXILの「INAXライブミュージアム」(愛知県常滑市)が1日に10周年を迎えた。「古いタイルや焼き物技術の再生活動、土を使った活動に市民参加を合わせれば、他のミュージアムでやっていないことができる」。ここでは市民参加型の体験教室やワークショップなどのライブ感を大切にしてきた。
生活のためのタイルや衛生陶器を作る「陶業」と伝統の「陶芸」両方を大切にするべきと考えたINAXの精神を受け継ぎ、合併してLIXILになった後も、博物館や古いタイル・建材の研究イベントなどで焼き物文化を伝えてきた。
ワークショップは毎月行う。子どもが泥だらけになるイベントもあるが「自由に楽しんでもらいたいので、親御さんには見守っていただく」。クリスマスには夜の博物館ツアーで呪われた館長を演じた。「私にとっても息抜き」と笑う。2015年には常滑市民病院のエントランス壁画を、市民とともに42万個のモザイクタイルで飾った。
10周年特別展として「つくるガウディ」展を11月5日から開く。タイルや石、れんがを使って独自の表現を生み出した建築家の視点を公開制作と展示で探る。「彼の業績を知り、そのハートをどう引き継ぐかがテーマの核心だ」と力を込める。今が準備の正念場で「企画担当者を始めみんなで内容を詰めている」
おすすめの展示は、イスラム版源氏物語、ホスローとシーリーンを描いた18世紀イランのタイル。「イランの要人は来日時に石川啄木の詩を勉強してくるほど他国文化を尊重する。イスラム圏の人にこのタイルの話をすると非常に喜ぶ。平和の手がかりにもなるのでは」と思っている。
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