2015/03/24

【薬師寺食堂】1042年の時を超える再建工事起工! 内部設計は伊東豊雄氏、完成は2年後

奈良市にある世界遺産・薬師寺で21日、食堂(じきどう)の起工式が行われた。関係者ら約2500人が参加し、白鳳伽藍の主要施設の無事完成と工事の安全を願った。監修を奈良文化財研究所元所長の鈴木嘉吉氏、復元設計(外観)を文化財保存計画協会、内部設計を伊東豊雄建築設計事務所、構造・設備設計、実施設計と施工を竹中工務店が担当する。写真は阿弥陀浄土図の序幕。

 式典では、刈初(かりぞめ)の儀を伊東豊雄氏と文化財保存計画協会の矢野和之代表取締役、穿初(うがちぞめ)の儀を山田法胤管長、鍬入れ(くわいれ)の儀を竹中工務店の難波正人取締役専務執行役員がそれぞれ行った。
 祝辞では、近畿日本鉄道取締役会長で薬師寺責任役員でもある山口昌紀氏が「私は奈良で育ち、よく薬師寺にも遊びに来ていた。食堂の復興を心からお祝いしたい。これから薬師寺には建物だけでなく、日本人の心の復興もお願いしたい」とあいさつ。

あいさつする伊東豊雄氏
続いて鈴木氏は「伽藍復興の総仕上げとなる施設で、外観は白鳳以来の姿を復興しながらも、内部は使いやすい近代建築となっている」、伊東氏は「田渕俊夫先生の素晴らしい阿弥陀浄土図が映えるよう、天井に金の雲海が広がるようにイメージした。2年後の完成を心から楽しみにしている」と述べた。
 最後に山田管長は「木造建築としては比較的早い工期で完成する。皆さんのお写経の力で食堂復興を完成していただきたいと願っており、力添えをお願いしたい」と呼びかけた。

外観イメージ
食堂は僧侶の斎食や仏教儀礼、年中行事が行われる伽藍の中心施設で、規模は延べ649㎡。内部は鉄骨を木材でカバーした柱・梁を使用することで強度を高めて柱の本数を削減し、スパンを拡げることで説教や芸能など多様な用途に使用できる空間を約400席確保している。
 本尊は阿弥陀三尊で、その阿弥陀浄土図は日本美術院代表理事の田渕東京芸大名誉教授が担当した。工期は4月から2017年5月まで。
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