2015/03/04

【建築】「ロの字型」動線で「明るく見通しよく、コンパクト」校舎 神奈川県立商工高校

神奈川県は、県立商工高校を総合ビジネス科・総合技術科併設校として再編するため、2012年度に簡易公募型プロポーザル方式で設計者を募集。提案5者の中から「コンパクトでバランスの取れた平面計画や安定した構造計画」などが高く評価され、多摩設計が設計者に選ばれた。

 提案競技を担当した多摩設計の中山和俊専務は「明るく、見通しのよい、コンパクトな校舎づくり」を基本テーマに提案作成に臨んだ。基本テーマの下で、大小2つのスケールで構成した中庭空間を配置することで光・風・視覚環境を演出。動線計画は「ロの字型」の採用によって回遊性と見通しの良い通路を確保した。「トイレや階段の共有化を図り、コンパクトな施設にまとめあげた」という。
 大空間の中庭は、旋盤やプレス、CADなどを集め、実技を1つの空間で学べるように提案した「ものづくり工房」や「視聴覚室」へ、小さな空間は「ラウンジ」へといざなう。また視聴覚室は「階段教室形式」とし、1学年が一堂に講義が受けられる大きな空間を設定した。ここに2層吹き抜けのカーテンウオールを設けることで、「明るい」学舎を印象付けている。
 同校は、ことし創立93周年を迎る。既存校舎は約半世紀にわたって使われてきた。既に渡辺組・見上工業JVなどの施工で再整備工事が始まっており、17年度の供用開始を予定している。「新しい校舎にも愛着を持って長く使ってほしい」と期待を寄せている。
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