2015/03/10

【建築家vs建築学生】「機」テーマのデザインレビュー2015 最優秀賞は堤昭文さん(日大)

学生の作品をプロの建築家が講評する形式で全国に先駆けてスタートした「デザインレビュー」がことしで20年を迎えた。6、7日に福岡市の九州大学椎木講堂で「機」をテーマにデザインレビュー2015が開かれ、変わらぬ熱い議論が展開された。予選を勝ち抜いた12作品の決勝審査では、最優秀賞に堤昭文さん(日本大学)の「故郷の星憬」=写真=が選ばれた。

 主催は同学生実行委員会(久保緩呂子委員長)。日本建築家協会(JIA)九州支部が共催し、総合資格学院(岸隆司学院長)が特別協賛した。
 クリティークは小西泰孝(小西泰孝建築構造設計)、手塚由比(手塚建築研究所)、内藤廣(内藤廣建築設計事務所)、藤村龍至(藤村龍至建築設計事務所)、葉祥栄(葉デザイン事務所)、末廣香織(九州大准教授、NKSアーキテクツ)の各氏が務め、司会を平瀬有人佐賀大准教授が担当した。
 ことしは全国から約360作品の応募があり、予選審査で本選進出82作品を選考した。6、7日の2度にわたるポスターセッションで決勝進出12作品を選び、決勝は学生自らのプレゼンテーションとクリティークによる質疑応答形式で進めた。
 プレゼン終了後の投票で、最優秀賞のほか、優秀賞に大野宏さん(滋賀県立大学)の「敷地の上の設計室~見えないものを見た生活と設計の記録~」と小黒雄一朗さん(九州大学)の「湯桁 時を囲う」を選んだ。

クリティークと最優秀賞の堤さん(中央)
堤さんの作品は、自身のふるさとでもある福岡県八女市星野村を舞台に、2012年の九州北部豪雨災害など、たび重なる災害に繰り返し被災した土地で、ふるさとへの思いと住み続けることのあり方を提案し、評価された。
 クリティークからは、「皆さんは価値さえ分からない中でプロジェクトをまとめる難しい時代に生きている。ぜひ生き延びてください」(内藤氏)とするエールのほか、「自分の体を使い、直感を大事にしてほしい」(末廣氏)、「建築はなくならない。造ることをポジティブにとらえてほしい」(手塚氏)などのアドバイスが送られた。
 閉会式では、総合資格学院天神校の三橋浩史学校長が「自分の作品、建築に対する強い思いが印象的だった。建築の魅力、重要性を啓発するために今後もサポートしたい」と述べた。
 角銅剛太JIA九州支部長は「大会を実行した学生の爆発的な力を感じた。実務の中で悩んだ時はJIAの扉をたたいてほしい」とあいさつした。

 クリティーク賞、JIA卒業設計選奨(全国卒業設計コンクール九州地区予選通過者)の受賞者は次のとおり(敬称略)。
 〈クリティーク賞〉
 ▽小西泰孝賞=渡邉匠(大阪市立大)▽手塚由比賞=杉森大起(立命館大)▽内藤廣賞=岡美里(多摩美術大)▽藤村龍至賞=荻野克眞(芝浦工業大大学院)▽葉祥栄賞=篠川慧(九州工業大)▽末廣香織賞=中津川毬江(東海大)
 〈JIA卒業設計選奨〉
 ▽森隆太(九州大)▽泊裕太郎(西日本工業大)▽佐伯瑞恵(九州大)▽加藤樹大(同)▽小黒雄一朗(同)▽松岡彩果(同)。
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